無登録海外FX業者とは

FX取引とは

FX取引とは、ある国の通貨を別の国の通貨に交換することです。

Foreign Exchange(外国為替)の略で、日本では「外国為替証拠金取引」と呼ばれます。

海外旅行のときに、たとえば日本円を米ドルに両替するような外貨両替と基本的には同じイメージですが、外貨両替が一回的に実額で行うものであるのに対し、FX取引は、取引額の一部に相当する証拠金を預け、取引を繰り返し行うことができるという特徴があります。

外貨両替の場合を例にとると、為替レートが1ドル=100円の場合、1000ドルを日本円に両替する場合は10万円になり、これで終わりです。

FX取引の場合、為替レートが1ドル=100円の場合に、500ドルを証拠金として預け、1000ドル分の取引を行って10万円相当額を持った後、円安により1ドル=110円になったときに換金すれば11万円相当額を得ることになりますが(為替差益)、逆に円高により1ドル=90円になったときに換金すれば9万円相当額しか得ることができない(為替差損)という、リスクのある取引です。

為替による差損のほか、当該通貨の金利差による益損が生じる場合もあります。


FX取引の拡大

日本では、1949年、外国為替及び外国貿易管理法(外為法)の施行により、為替取引を原則禁止する建前となっていました。

その後、1980年の外為法改正により、為替取引を原則自由とする法体系になり、貿易等に関する為替取引は認められたが、取引が可能とされたのは、“銀行を中心とした金融機関のみ”とされ、個人が為替取引を行うことはできませんでした。

1998年4月の外為法改正により、一般企業や個人が為替取引を行うことができるようになりました。これにより、国内でFX取引がスタートしました。

この当時は、FX取引の認知度も低く、普及も緩やかでしたが、2000年頃からのインターネットの普及により、FX取引が認知され始め、取引をする人も爆発的に増えていきました。

これにより、FXを取り扱う業者もどんどん増えていきましたが、取引するためのルールが業者によって違っていたり、取り締まりなどもゆるやかだったりしたため、詐欺まがいな行為も横行していました。

そこで、2005年に金融先物取引法が改正され、規制の対象となり、すべての取引業者に金融庁の登録が義務付けられました。

さらに、2007年には金融先物取引法を統合する形で金融商品取引法が制定され、2009年には、金融商品取引業等に関する内閣府令の改正によって、顧客から預かった証拠金の区分管理方法が信託銀行等への金銭信託に一本化され、FX業者等が破たんした場合でも証拠金が保全されるようになりました(信託保全)。


無登録海外FX業者とは

FX取引を取り扱う業者はすべて、金融庁に、金融商品取引法に基づく「登録」を行わなければなりません。これは、FX取引がリスクを伴う取引であるため、信託保全の観点は、悪質業者を排除する観点が必要だからです。

現在、日本国内で金融商品取引業者として「登録」(営業が許されている)業者の一覧は以下のリンクから確認できます。

https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kinyushohin.pdf

この「登録」では、FX取引を行う際に必要な社内体制が充分に整備されているか、顧客資金の安全性が確保されているか等が見られ、要件を満たしていると判断された際に初めて登録が可能になります。

しかし、これらの要件を満たすのは、簡単ではないため、無登録でFX取引を営む業者が存在します。これらの事業者を「無登録FX業者」といいます。

また、海外のFX業者で、現地では必要な許認可等を取得している事業者もいます。現地の法体系ではそれで充分かもしれませんが、日本の法律では、日本国内に在住している者に対してFX取引のサービスを提供する場合、日本の金融商品取引法での登録が必須であるため、これらの海外事業者も「無登録FX業者」に該当します。これは、日本国内の水準での顧客保護を必要としているためです。


無登録海外FX業者が増加した背景

このような無登録海外FX業者が増加した背景には、レバレッジ規制があります。

日本では、2011年8月以降、レバレッジの上限は25倍に規制されています。

これに対して海外では、400倍、500倍、1000倍以上のレバレッジで取引ができるため、このようなギャンブル性が高く資金効率が良いハイレバレッジ取引を好むトレーダーが、インターネットの発達も相まって海外のFX業者を使い始め、利用者が増えたことが背景にあります。

そして、このような海外FX業者が、日本で「登録」を受けないで取引を行っているのです。


無登録海外FX事業者を利用するリスク

「無登録海外FX業者」で取引する場合、社内体制における内部管理・内部監査が確立されているか明確でない、そのため資金管理が適切になされていない可能性が高い、資産内容を公開していないため資産状況・経営状態が不明、経営実態を容易に把握できない、法人登記・登録情報を完全に把握することが困難な場合が多い、所在地・連絡先が不明、個人情報の管理が杜撰、日本語サイトがあっても日本語が通じるとは限らない、取引ルール・入出金ルールが複雑でわかりにくいなどのリスクがあります。