無登録海外FX業者の調査方針

無登録海外FX業者の商圏と実態

無登録海外FX業者といっても、日本居住者からみると無登録の事業者です。

なかには、海外の営業ライセンスを保有し、該当国の監督機関のルールに従って営業活動を行っている事業者は多く存在します。

世界的に信用力があるとされている、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)、全米先物協会(NAF)、イギリス金融行動監視機構(FSA)、スイス金融市場監督局(FINMA)、ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)、日本金融庁(FS)、フランス健全性監督局(ACPR)、シンガポール金融庁(MAS)等の金融ライセンスを保有する事業者は、監督機関により営業地域を厳しく制限され、越境地域への営業活動は比較的制限されています。

例えば、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)のライセンスを保有する事業者が、日本語のWEBサイトを公開し、日本居住者を営業の対象にしていたと場合、その営業行為は、日本の法律によると金融商品取引法に抵触するとして、日本の金融庁(FS)から営業を是正するように指導が行われるでしょう。

しかしながら、昨今、オフショアと呼ばれる地域(モーリシャス・バヌアツ・バージン諸島・ケイマン諸島・バハマ・モーリシャス・ベリーズ等)の金融ライセンスを取得し、日本をはじめとする越境地域へ営業活動を行う事業者の数が増加しています。

このようなオフショア地域の監督機関は、事業者に許認可を下ろす際、営業地域を定めなかったり、自国以外での営業活動には関与しなかったりする場合が多く、許認可を下ろした事業者やその傘下の事業者が日本をはじめとする越境地域で営業活動を行っていても、その営業活動に関与することは少ないのです。

そのため、オフショア地域の監督機関に対し日本の金融庁が営業の是正する指導を行っても、規制下の事業者に対して指導が行われることは少ないのです。

そのような規制の盲点を利用し、規制の緩いオフショア地域のライセンスを取得し、日本を商圏としている事業者が年々増加する傾向にあります。

日本の金融庁のWEBサイトでは、「たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されている」と明確に規律しており、海外を所在地とする事業者であっても日本居住者に対しFXサービスを提供することは、金融商品取引法に抵触する違法行為です。

参考:https://www.fsa.go.jp/ordinary/iwagai/

また、日本の金融庁は、このような「無登録の海外所在業者」による勧誘への注意喚起も行っており、具体的な出金トラブルやハイレバレッジの危険性に対しても注意を促しています。

https://www.fsa.go.jp/ordinary/kanyu/20090731.html


調査対象の無登録海外FX業者

当研究所の調査研究の目的は、現行の法制度では規制しきれない、海外を拠点とする事業者の実態を調査し、その問題点を法的な観点から広く啓発することです。

そのため、当研究所で調査の対象とする無登録海外FX業者は、日本を商圏としている事業者に限定します。

日本を商圏としているかの判断については、該当事業者のWEBサイトの広告手法、入出金金方法、サポートデスクの言語、IBと呼ばれる仲介業者の数、顧客誘導方法などを総合的に判断し、明らかに日本の市場を商圏にしていると判断できれば、当研究所での調査の対象業者といたします。

特に当研究所では、無登録海外FX業者の中でも、入出金トラブルの情報が噂されたり、詐欺行為に類すると思われる事業者を率先して、消費者被害の撲滅に貢献するよう調査・啓発を行っていきたいと考えます。